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7月に入り、気温が高く体調管理が大切な季節になりました。
まして1年以上続くコロナ禍で、「コロナうつ」など心身の調子を崩しやすい状況が続いています。
長期療養を余儀なくされた時に、労働者の味方となる制度の1つに【傷病手当金】があります。
「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」により、傷病手当金の支給期間の計算方法が変更されます。
傷病手当金は健康保険の被保険者が
① 業務外の事由により病気や怪我をして
② 連続する3日を含む4日以上、業務をできず休業し
③ 休業期間中に給与がない時
に受けられる給付です。
業務外の病気や怪我による休業の場合、傷病手当金の申請をすることで会社の加入する健保(協会けんぽや健保組合)が労働者の生活を保障してくれます。
きょうかい健保における基本的な1日当たりの金額は以下の通りです。
【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
大雑把にいえば「月収の2/3」のイメージです。
健保組合によっては付加給付があり、もう少し高い割合で支給される場合があります。
支給を受けられる期間は支給開始から連続1年6か月ですが、この支給期間が変更となります。
2022年1月より、傷病手当金の支給期間の計算方法が変更されます。
現行は支給開始から連続1年6か月が支給期間ですが、令和4年1月以降は通算1年6か月が支給期間となります。
この改正により、同一の傷病を治療時に就労と休職を繰り返す場合、傷病手当金をもらえる期間が長くなり、労働者が治療を続けながら働きやすくなります。
例えば、2021年4月1日から傷病手当金の支給開始になり、2021年9月1日~9月30日まで1ヶ月ほど復職して通常どおり勤務したが、また同一の傷病により休職に入る場合はどうなるでしょうか。
現行では、支給開始から連続1年6か月となる2021年4月1日~2022年9月30日が支給期間です。
2021年9月1日~9月30日は通常勤務し、給与が全額支払われているので、傷病手当金の支給対象になりません。
すると、実際に支給される傷病手当金は1年5か月分となってしまいます。
改正後は、通算1年6か月が傷病手当金の支給期間となります。
2021年4月1日~2021年8月31日の5か月と、2021年10月1日~2022年10月31日の13か月が支給対象となります。
復職により傷病手当金の受給額が減る、という事が起きなくなります。
具体的な取り扱いはまだ示されていませんが、実務上、休職者の傷病手当金の支給期間を記録する必要が出てくるでしょう。
2022年1月より、傷病手当金の支給期間の計算が【連続】1年6か月から【通算】1年6か月に変更になります。
傷病手当金を利用することで、がんのように長期に渡る治療が必要な労働者も休業中の生活の保障を受けながら仕事を続けることができます。
「働き方改革」の一環として、企業による治療と仕事の両立の支援は社会的にも要請されています。
傷病手当金を利用するには、健康保険の加入が必須です。
健康保険に加入していない個人事業主の方は、この機会に加入を検討してもいいかもしれません。
厚生労働省の「医療保険に関する基礎資料~平成30年度の医療費等の状況~」によると、傷病手当金の支給件数と総支給金額は直近の5年で増加傾向にあります。
医療保険に関する基礎資料|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
いま周りに傷病で休業する人がいなくとも、いつ休業者が出るか分かりません。
いざという時に対応できるよう、法改正を確認しておきましょう。