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2022年10月より施行予定。出生時育児休業について

2021921日の閣議決定で、改正育児・介護休業法の施行が決まりました。20224月から段階を踏んで施行予定となっています。

ところで、男性の育児休業はどのくらい取得されていると思いますか。

2021730日に発表された令和2年度雇用均等基本調査では、男性の育児休業取得率が12.65%と過去最高の結果でした。2020年度の同調査では取得率が7.48%であり5%以上伸びましたが、政府の2020年度達成目標であった13%にはまだ届いていません。

令和2年度雇用均等基本調査|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

今回の法改正は、男性の育児休業取得の推進が主な目的です。

育児休業の取り方から社会保険料の免除、企業の情報公開やくるみん制度の見直しまでを含む幅広いものですが、本記事では新設される「出生時育児休業」にポイントを絞ってまとめます。

全体像は、厚生労働省のパンフレットをご参照ください。

000789715.pdf (mhlw.go.jp)

育児休業 現行制度の確認

最初に現行(20219月時点施行)の制度の確認です。

    子が1歳に達する前日(誕生日の前々日)まで、原則1回のみ取得可能

    男性は、子の出生後8週間以内(「パパ休暇」)と、出生後8週間経過後の2回に分けて育児休業を取得できる

というのが現行の制度です。

休みが取れるののは良いのですが、意外と利用しづらい部分があります。 

例えば里帰り出産の際に、出産日から1週間程度の育児休業を取得したら、1か月後の帰宅時のフォローでは育児休業を利用できません。

 より柔軟に育児休業を取得できるよう男性に「出生時育児休業」が創設されることになりました。

「出生時育児休業」はどうなる?

「出生時育児休業」とは、

    原則、休業の2週間前までに申し出ることで

    子の出生後8週間以内に4週間まで

    分割して2回まで

取得できる休業になります。分割する場合はまとめて申し出ることとなる見込みです。

子の出生後8週間以内に2回に分けて育児休業を取得できるので、例えば里帰り出産の際に、出産日から1週間程度の育児休業を取得し、1ヶ月ほどで里帰りから戻る時に育児休業を再取得して妻のフォローをする、ということができます。

申し出の時期については、労働環境の整備などについて、改正後の法律を上回る取り組みの実施を労使協定で定めている場合、「休業の1か月前までに申し出る」こととすることができます。

なお女性は、子の出生後8週間が産後休業の期間となるため出生時育児休業は適用されません。

出生時育児休業の施行日は2022101日です(2021927日公布)。

出生時育児休業中は一部期間で就業が可能になりますが…

労使協定を締結している時に限り、労働者が合意した範囲で出生時育児休業の取得中に就業することができます。

出生時育児休業中は女性が産後休業にあたり、労働者本人以外に育児を行える者がいる場合があるためです。

合意の手続きは以下のように定められています。

    前提として労使協定を締結する

    労働者が休業中に就業しても良い場合、就業の条件を事業主に申し出る

    事業主が、労働者の申し出た条件の範囲内で就業の候補日や時間を提示する

    労働者が、事業主の提示の中で合意した部分のみ就業

労働日数・時間の上限については、休業期間の半分を上限とする厚生労働省令が別途発令される予定です。

この就業の合意は、休業開始前は任意のタイミングで撤回が可能です。休業開始後は、特別な事情がある時に撤回が可能です。

事業主としては利用のハードルがやや高い制度になるでしょう。

現行の育児休業も2回まで分割取得できるようになります

現行の育児休業も、原則2回まで分割取得になります。

なので、法改正後、男性は出生時育児休業を2回、育児休業を2回の合計4回に分けて育児休業を取得できるようになります。 

もし長期間連続で取得したい場合は、出生時育児休業の枠組みを使わずに今まで通り「育児休業」として休業できます。

法改正後の育児休業 取得イメージ

法改正後の育児休業 取得イメージ

事業主として押さえたいポイント

事業主として一番大切な点は、多くのケースで就業規則の改定が必要になる点です。

最初から法改正に対応できる就業規則なら問題ありませんが、そのようなケースはかなり少ないと思われます。

一方、既に育休に入っている方の対応など、詳細な運用については今後の省令などで決まります。

そのため、準備を始めながらも最新情報に注視し、柔軟に対応していく必要があります。

さらに2022年4月1日からは、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備や、本人・配偶者の妊娠や出産改正の周知・意向確認も義務化されます

育児休業に関して、大幅な就業規則や対応フローの整備が必要と言えるでしょう。

詳細はこれから省令などで決まるため、最新の情報をチェックしていきましょう。